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”原音の守護神” MUSES

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今回のコラムは、オーディオの音質にこだわる方達に大人気の、当社のオーディオ向け高音質デバイス、MUSESについて、語ります。

 

★★★

MUSESコラム 第1回

  ~ ”原音の守護神” MUSES ~

 

MUSESってご存知ですか?

皆様は日清紡マイクロデバイスのMUSESをご存知ですか?
MUSESは日清紡マイクロデバイスブランドの、高音質を追求したオーディオ用半導体デバイスのブランド名です。

HP_gazouMUSESオフィシャルウェブサイト

半導体にブランドを?それも、なぜMUSESっていう名前なの? と思われる方もいらっしゃると思います。
また、もしかしたら、MUSESという言葉自体をご存知ない方や、読み方もわからない方もいらっしゃるかも、しれません。

MUSESとは、ギリシャ神話に登場する音楽や舞踏、詩、文学などを司る、知性と感性の女神たちに由来しています。
そもそも、音楽を意味するMUSICもMUSESに関係があります。
一説には、”女神たちMUSESの恩恵を受ける人間の営み”を意味するギリシャ語、mousikeが、MUSICの語源と言われているそうです。
女神達を意味する、MUSESは、ミューズとか、ミューゼスとか色々読み方があるみたいですが、当社のブランドはミューズと読んで下さい。

このように、MUSESとは、音楽と切っても切れない言葉、といっても過言ではありません。

さて、MUSESの名前の由来がわかりましたが、ではなぜ、当社はMUSESブランドを開発することになったのでしょうか?
それを説明するにはまず、当社のオペアンプの歴史について、語る必要があります。

 

 

MUSES誕生までの歴史

ご存知のように、当社、日清紡マイクロデバイスは、新日本無線と、リコー電子デバイスが統合して今年誕生した新会社ですが、
統合前の新日本無線時代から、オペアンプを製造、販売してきました。
その歴史は結構古く、オペアンプの生産を始めたのは、今から40年以上も前の、1975年になります。

その過程で、1977年に汎用オペアンプ、NJM4558をリリースしました。

このICは、低雑音のオペアンプを2個備えた、デュアルタイプですが、使い勝手の良さから多くの電子機器に搭載されロングセラーICとなりました。

 

また、その後、NJM4558をベースにラインナップを拡大していったところ、オーディオ向けの高音質ICが認知され、
NJM4580NJM2068、NJM2114など様々な当社オペアンプがオーディオ用途をメインとして数量を伸ばし、
2003年には、生産数量の世界シェアは、1位に肉薄の2位にまで登り詰めました。(1位との差はわずか1%)

graph_world5参考:マーケティング・アイ 2003年版オペアンプに関する調査

 

ところが、このシェアNo.2はそう長くは続きませんでした。
というのも、セカンドソースや、名前だけの類似品、いわゆる海賊版が出回り、価格が下落してしまったのです。

※セカンドソース:ある製品(オリジナル)の機能やピン配置などを同一のまま作った製品のこと。オリジナルが製造ストップになったときに、セカンドソースが代替品になるため、セットメーカーも安心して採用できる。ただ、セカンドソースが複数あると、市場は安定するが、価格競争がおきてしまい、オリジナルの販売に影響が出ることもある。

 

”良いものは、真似され、安価で売られる” という、避けては通ることができない、大きな壁に当ってしまいました。

それにより、当社の開発方針が、汎用品は低コスト、高付加価値品は高精度、高信頼性路線となり、
2000年に入る前に、既にオーディオ向けのオペアンプの新規開発は止まってしまいました。

そして、当社が足踏みしている間に、台頭してきたのが、外資系メーカーのオペアンプです。
高級オーディオ機器に、それもNJM4580の10~20倍も値段が高い、高性能オペアンプが採用されていきました。
以前、オーディオ向け高音質ICで業界を席巻した、新日本無線ですが、いつのまにか、それは過去の栄光となっていました。

この悲しい状況を打破しようと、立ち上がったのが、当時の開発者達です!

 「こうしてはいられない!新日本無線のオーディオ用オペアンプの地位を復活させなければ!」
 「お客様に、今よりも、もっともっと良い音質、それも最高の音質で音楽を聴いて欲しい!」

という思いのもと、一念発起して、フラッグシップの高音質オペアンプの開発プロジェクトを立ち上げました。
それがMUSESプロジェクトです。

そして、試行錯誤、紆余曲折、を経て、約3年後の2009年にようやく、MUSES01/02をリリースすることができました。

 

その後も、試行錯誤を繰り返し、ラインアップを少しずつ増やしていきました。

※MUSES0xはプレミアムオーディオ向け

 

MUSESの"コンセプト"とは。。。

MUSESプロジェクトの基本理念は、
”良い⾳で⾳楽を聴く喜びや感動(人間の本質)を、当社のオペアンプMUSESによってお客様に提供する”
です。

そして、その開発のコンセプトは以下になります。

Musesの開発コンセプト
 1. 高品位な音の追求
 2. 色付けの無い、誇張の無い、損失の無い、原音に忠実な音の追求
 3. 数値では表しきれない、感性に響く音の追求

 

人によって、音の感じ方、音の良さ(好印象な音)は変わります。
なので、誇張はせず、原音に忠実に、音を良くするのではなく、悪くさせず、劣化させない、ことが最適解と考え、開発を行っています。

あくまでもMUSESは、原音を可能な限り守って、みなさんにお届けする、”原音の守護神”でありたいと思っています。

 

 

MUSESの高音質化技術

MUSESを支える高音質、それを実現する技術は大きくわけて3つあります。

①回路設計
音質を最優先した、回路構成や、レイアウト構成
comp_chip2
②厳選素材
ICのリードフレームに、高純度の無酸素銅を採用し、信号伝達時の劣化を低減。
※MUSES01/02/03/05のみ
ESON無酸素銅フレーム
③組立技術
高音質化のために、2チップ構成を実現
・MUSES01/02 オペアンプのL/Rを分離
・MUSES03/05 1つのオペアンプの入力段と出力段を分離
MUSES03 DIP8_mod2

 

一般的な製品が生産性やコストを追求すると、どうしても音質は劣化してしまいます。
なので、MUSESは、音質が良くなること、原音が劣化しないこと、を最優先にして、開発しています。

 

 

でも、技術だけでは高音質にはならない!

ただ、いくら良い材料を使って、いくら音が良くなる設計して、数値データ上良い音になっても、それだけでは、MUSESは完成しません。
なぜなら、人が音を感じるのは、人の耳であり、その音を”良い”と感じるのは、人の感性になりますので、
人が聴く音楽は、やはり、人が良し悪しを判断する必要がある、と私達は考えています。

なので、MUSESが出来上がるまでに、私達は、何度も試聴を繰り返します。
プロジェクト開発当初から考えたら、数え切れないほどの試聴をしてきました。それこそ、もう1万回は優に超えたのではないでしょうか。。

こうして、設計、試作、試聴、を何度も何度も何度も繰り返し、人の感性に響く音を追求した、MUSESが出来上がりました。

 

足早にMUSESについて、色々紹介してきましたが、このへんで、第一回は終了とさせていただきます。

途中、MUSESの開発歴史を簡単に書きましたが、実際、MUSESの開発は、本当に苦労の連続でした。
プロジェクトの立ち上げはもちろんのこと、開発中から、完成までに、様々なハードルがあり、それを乗り越えてきました。

次回は、そのMUSES開発の歴史について、もう少し深掘りしていこうと思います。
MUSESコラム第2回、”MUSESは居酒屋から始まった?(仮題)”を、乞うご期待ください!!

 

 

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