今回は非接触でボタン操作をする話です。
ある日、ベテラン社員の先輩Cさんのところに、入社3年目の新人B君が、困った顔してやってきました……
教えて先輩!シリーズ 第8回
ボタンを触らずに操作できる(ボタンのタッチレス化)ってどうやってるの?
C先輩、最近ボタンに触らずに操作できる機器が出てきましたよね。
動画:帝国通信工業株式会社様のデモ
あら、B君。
そうねぇ。コロナ禍で急に増えたわね。
これまでは未来の技術みたいな位置づけでいろいろ展示会とかでは紹介されていたけどね。3Dディスプレイとセットだと結構な未来感だったんだけど、なかなか商品化には至らなかったのよ。ニーズがなかったのかしらね。
エレベータのボタンとか、お店の支払時にクレジットカードの暗証番号を入力する際にを爪楊枝とか綿棒で押すというのを見たことがあります。使用前、使用後の爪楊枝とか綿棒がいっぱいで異様な感じでしたけど。あと、洗面所で手をかざすと水が出るっていうのは当たり前になっていますよね。液体せっけんが思ったタイミングで出ないとかの課題もあるとは思いますけど。
確かにねぇ。手を洗い終わった後に液体せっけんがピシャって出てくると「え~」と思うわよ。あれはセンサの部分に水が付いていたりして誤作動するのか、手の位置が良くないのか、……ねえ。
そのセンサについて教えてください。たぶんタッチレスセンサとか非接触センサとか言うと思うのですが、どういうものなんですか?
そうねえ、タッチレスセンサには大きく2つの種類があるのよ。まずは光学式ね。赤外線やレーザーを検知対象物に向けて照射して反射してくる光をセンサで捉えることで検知対象物の有無を検知するのよね。小型薄型が特長の方式だから、ボタンに内蔵できて違和感なく使えることがメリットなの。さっきのエレベータのボタンや自動販売機のボタンなどに使えるのよね。
ボタンとしても使えるし、タッチレスでボタンの操作もできるんですね。
そうね。タッチレスだと本当に押せているか不安な人は直接ボタンを押したいでしょうし。
もう1つは静電容量方式ね。指を近づけると静電容量が変化するのでそれを検知するのよ。こっちはボタンではなくてタッチパネル用ね。銀行のATMとか自動券売機とかのタッチパネルに使えると思うわ。
タッチパネルって複雑な操作をする機器に使われていますよね。画面の内容が次々変わるから物理的なボタンってわけにはいかないんですね。
駅の切符の券売機なんて昔はボタン式だったんだけどね。今ではタッチパネル式になって回数券や座席指定券、特急券、周遊券まで買えるわよね。だけど、飲料の自動販売機や飲食店の券売機ってボタン式が主流なので住み分けができているのよ。エレベーターもボタンよね。その内容が変わらなければボタン、内容が変わったりするとタッチパネルの方が良いのよね。
さっきの液体せっけんディスペンサーの問題なんかもそうですけど、ボタンだったら押せば動作しますけどタッチレスだと誤認識が不安ですよね。
そうねえ。缶コーヒーのボタンを押したつもりがコーンスープ缶が出てきたら困るし。
それって対策できているんですかね。エレベータでボタンを押し間違えると超高層ビルの場合えらいことになるかもしれません(笑)。
えらいこと?。。ああ、大変なこと、って意味ね、あなた、どこの出身なのよ。。(笑)
話戻すけど、今回、日清紡マイクロデバイスが開発した光学式タッチレスセンサNJL5830Rはそういう部分も対策済なのよ。
このNJL5830Rは光を出す赤外LEDと指に反射して戻ってくる光を受ける受光ICをワンパッケージにしたもので、ボタンそれぞれに搭載されるものなんだけど、隣のボタンに干渉しないようになっているから誤認識はしないらしいよ。センサ同士の干渉防止機能を内蔵、だって。
なるほど。それなら自動販売機での買い間違いもないってことですね。
あとね、光変調方式により外乱光耐性も高く、屋外での使用も可能なんだって。
それは屋外に置いている飲料の自動販売機などでも問題なく使えるってことですね。
そうそう。
そして、手袋をしていても反応するのが光学式の強みなのよ。ほら、スマホって基本的に手袋をしていると操作できないでしょ。
そうでした!静電容量方式のタッチパネルって手袋だと認識してくれないんですよね。毛糸もそうですけどビニールとかゴムとかも電気を通さないですから。そうすると冬場は静電容量方式のタッチレスセンサって使えないんですよね。
そうねえ。冬に限らず仕事柄手袋をしている人が使えないのは困るのよね。例えば、飲食業界とか医療業界とかはビニール手袋をしているし、工事現場では滑り止め付きの軍手とかゴム手袋をしているでしょ。手袋をしているからタッチレス化が不要というわけではなくて、その手袋で顔とか他の場所を触っちゃうからやっぱりタッチレス化した方が良いのよ。
なるほど。光学式は手袋していても大丈夫というメリットがあるんですね。
そうね。まあ、現時点ではただ、光学式はタッチパネルには使えないというよりも、ボタンのタッチレスに特化した方式かな。銀行のATMとか多機能な券売機はダメだけど。今後どうなるかわからないわよ。日清紡マイクロデバイスってここに力を入れていてOpttonTM(オプトン)って名前でシリーズ化していくみたいだし。
なるほど。それぞれに適した機器があるってことですね。
そうそう。
光学式タッチレスセンサ NJL5830R
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あとがき
我々の製品がお役立ちできるような紹介ブログの第8回目です。
本記事で気になったことがあれば何なりとこちらからお問い合わせください。
※教えて先輩!シリーズ、の過去の記事はこちら:
第1回: 太陽電池だけでは朝まで動き続けないんです・・
第2回: 携帯機器のスリープ時に電池がどんどん消耗するんです…
第3回: バックアップ電源切換回路が面倒くさいんです。
第4回: AEC-Q100ってなんですか?
第5回: サンプルをこっそり手にいれたいんです。
第6回: こんなリセットICってどうやって使うのですか?(機能安全って?)
第7回: 携帯機器がフリーズしても、リセットできないんです~!