皆様は、最近、色々なところで行われている、ハッカソンというイベントをご存知ですか?
今回は、日清紡マイクロデバイスが毎年社内で行っているイベント、”ハッカソン”について、始めた経緯や活動内容など、色々ご紹介していきたいと思います。
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ハッカソンって、どういうイベント?
そもそも”ハッカソン”ってなんなのでしょうか??
初めて聞く方も多いと思いますが、起源としては、1999年頃からアメリカで始まった、ソフトウェア関連プロジェクトのイベントのことです。
意味としては、”うまくやる”という意味のHACK(ハック)と、”走り続ける”という意味のMARATHON(マラソン)を足して作られた混成語だそうで、最初は、プログラマーが、ソフトウェア開発で集まって、「一定期間、テーマに没頭し、成果を出す(競う)」というイベントから始まったそうです。
それが今では、ソフトウェア関連だけでなく、ハードウェア企業、産学連携、はたまたアートや音楽など、様々な分野でもイベントが開催されているそうです。
一説によると、SNSのFacebookが始めた親指を立てるイイねマークは、Meta社(当時はFacebook社)の社内ハッカソンで出た案とのことです。
日清紡マイクロデバイスのハッカソン!
日清紡マイクロデバイスにおけるハッカソン(以降NISDハッカソン)の歴史は、統合前の旧リコー電子デバイス時代の2017年にさかのぼります。
2017年に発足されたトリリオンノード研究会※に参加したことをきっかけに、若手技術者向けの教育イベントを企画してスタートさせました。それが毎年、回を重ねるごとに、大きくなっていき、現在では、大阪の池田事業所、埼玉の川越事業所で、それぞれ10名以上、計20名ほどが参加する、大きなイベントになりました。
※トリリオンノード研究会:一兆個(トリリオン)の小さな端末が社会を支えるトリリオンノード世代において、新しいIoTやCPSの先端技術を使って社会課題や人々の生活課題を解いてゆくことを皆様とご一緒に考えていこうという集まり。旧リコー電子デバイスも発足当時から参画しており、研究会が構築したLeafonyという1円玉サイズの電子基板をもとに、Leafony Busに準拠した、電源リーフを作り上げました。 |
現在行われているNISDハッカソンは、若手技術者向けの重要な教育イベントの一つであり、その目的としては、以下を位置づけています。
1)自社製品の顧客価値に対する理解を深める
2)「お客様に刺さる」デモ機(システム)を創る
3)システム理解とプレゼン力を高める
若手技術者が、製品を開発するにあたり、どのような製品がお客様に刺さるのかをシステム目線で考え、それを自分達で具現化することで、システムの理解だけでなく、お客様が必要としているもの(顧客価値)を認識することができます。
そしてその具現化というのが、製品拡販ツールとしてのデモ機の作成です。デモ機を作って商談時にお客様に見せることで、我々の製品に対する、お客様の理解度があがり、拡販に効果的になります。また、設計初心者としても、デモ機を作ることで、システム設計やプログラミング技術に触れるだけでなく、動画作成を含めたプレゼンテーション能力などのスキルも学ぶことができます。
デモ機は商談時のキラーアイテムになる!
ということで、NISDハッカソンで、期待しているアウトプットは、以下になります。
期待しているアウトプット
・販促デモ機のプロトタイプ作成
・YouTube用動画
・システム視点の醸成
前述した通り、デモ機は商談時のキラーアイテムになるため、非常に重要なアイテムなのですが、ハッカソンは短期集中プログラムなので、デモ機の完成度はそこまで期待できません。ただ、完成度はそこまで重要ではなく、それを作った思いや、創意工夫、熱意が伝わればいいので、プロトタイプでも十分なのです。
また、デモ機と一緒に商談で活用したいのが、動画です。動画があれば、思いを伝えやすいですし、スマホひとつあれば、何度でも見返すことができますので、動画もアウトプットに入っています。実際、短期間で、YouTubeで一般公開できる程のクオリティに仕上げるのはかなり難しいですが、それでも、動画に慣れ親しんだ若者目線で、各グループ、趣向を凝らした動画を作成しています。
最後の「システム視点の醸成」については。。。醸成って、難しい言葉ですが、ようするに、ICを設計する立場ではなかなかシステムを設計するお客様の気持ちがわからないため、システム設計側の位置に立って、俯瞰して見ることで、お客様が本当に必要なものが、見えてきて、それを設計に活かせることになります。その視点を養っていくということですので、このイベントが終わってから見えてくるものになります。
アイデア創出には、5W1Hは重要!
「自社製品を売るためにデモ機を作るぞ!アイデアを出せ!」と言われても、若手の技術者では、経験があまりないので、そう簡単にアイデアは出ないと思います。なので、アイデア創出のためのアプローチの1つ、5W1Hを使ってアイデア創出を促します。
What:自社のどの製品を売りたいのか?
When/Where:いつ、どこ、のタイミングで売りたいのか?
Whom:誰に売りたいのか?
Why/How:なぜ顧客は買ってくれるのか?どうやって顧客に売るのか?
顧客の立場になって考えることが重要なのはわかっていても、何からすれば良いかわかりません。
そこで、ひとつひとつ細かく落とし込むことで、おのずと答えがハッキリ見えてくるのです。
電話もメールも禁止して、ハッカソンに全集中!
では、NISDハッカソンのイベントスケジュールを簡単に説明します。大きく分けてステージは4つ。
①M5stack ハンズオン:使用するマイコン、M5stackの使い方のレクチャー(オンライン)
②アイデア出し事前講習:アイデアの出し方をグループワークをしながら、レクチャー(0.5day)
③アイデアソン*:グループでどんなシステムを作るか決め、それを部品レベルまで落とし込み、購入しに行く(1.5days)
④実装/成果報告会:デモ機のプロトタイプ及びそのプロモーション動画を作成。また最終日に成果の報告。(3days)
*アイデアソン:ハッカソンと同じく、アイデアとマラソンをかけ合わせた造語で、短期間、没頭してアイデア創出を行うことを意味する。 |
以上、スタートから終了まで、約1週間という短期間で、テーマ選定からプログラミング、デモ機作成など、すべてをやりとげます。かなり集中しないとこなせません。そのため、ハッカソン参加中は社用の電話もメールも禁止して、テーマに没頭します。
NISDハッカソンのスケジュール
ちなみに、上図にある”日本橋”(大阪は”ニッポンバシ”と発音します)とは、西の秋葉原と言われる大阪一の電気街で、池田事業所の場合の部品調達場所です。川越事業所開催時の場合は、”秋葉原”まで行って、メンバー自ら部品の調達に奔走しました。わざわざ行かなくても通販の方が楽なのに。。。と思われるかもしれませんが、届くのを待ってる時間もないですし、自分の足を使って苦労して手に入れるところがミソですね。
さて、色々説明をしてきましたが、ハッカソンの効果を理解するには、実際作成されたデモ機のプロトタイプをお見せしながら、一つ一つ紹介するのが一番早いと思います。ただ、今回は説明が少々長すぎて、ページ数が無くなってしまいました。すみません。。。💦
過去に作成されたデモ機の一部
よって、今回はここまでにさせていただいて、デモ機の紹介は次回の、”ハッカソンって何?”の後編、”ふぞろいのデモ機達(仮題)”で紹介させていただこうと思います。
次回も、ご期待ください!
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