昨年、日清紡マイクロデバイスのHPで保護ICのコラム第1回、「リチウムイオン電池保護ICの歴史(前編)」をスタートさせたことを報告しましたが、その歴史を語る後編が既に公開されていますので、今回はそちらをご紹介します。
第1回のテーマは、初期から最新まで、移り変わってきた機能について述べていましたが、第2回では、その移り変わってきた歴史を「性能とパッケージ」にフォーカスして、語られています。
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保護ICの最も重要な性能は?
皆様は、リチウムイオン電池向け保護ICのデータシートを見られたことありますでしょうか?
過充電、過放電、過電流、短絡など、様々な禁止事項がありますが、それらを防ぐために最も重要になる性能は、電圧や電流を検出する精度になります。
その中でも特に重要になるのが、過充電検出電圧精度と、過電流検出精度と考えられています。
第1回紹介記事はこちら:リチウムイオン電池保護ICコラムはじめました!
過充電検出電圧って?
リチウム電池は取り扱いを間違えると発煙や発火、最悪の場合、爆発の危険性もあるため、保護ICで制御することが非常に重要になります。
その保護ICの機能の中で、最も重要なのが、過充電検出電圧機能であり、もし、その機能に問題があると電池が満充電になっても、充電が停止せず、過充電状態になり、電池に悪影響を及ぼす可能性があります。
ただ、危険だからといって、過充電しないように、充電終止電圧を低く設定しすぎてしまうと、もっと充電できるのに充電をとめてしまうことになり、せっかくの電池容量を無駄にすることになります。
また、コラムにも記載のとおり、充電電圧が過充電検出電圧より高くなると、充電する度に保護がかかってしまうので、いつまでたっても、満充電になりません。
よって、できる限り過充電の検出電圧の精度上げて、安全を保ちながら電池容量を最大限使用する、ということが重要になってきました。技術革新のおかげで、現在では±10mVまで精度がよくなっています。
なぜ放電過電流検出が大事?
もう一つの重要な機能が、過電流検出で、その中でも特に重要になる精度が、放電過電流検出精度です。
え?充電電流ではなくて、放電電流と思われた方もいらっしゃると思います。
確かに充電するための電流も重要ですが、近年、システムが大電力化するに伴い、放電時の電流が増加してきています。放電電流が大きくなることにより、発熱量も増えるため、電池温度が上昇し、電池の劣化や、破壊につながる可能性も増えてきました。
そこで、放電過電流の精度を上げることが、危険を回避する重要な性能としてクローズアップされました。
近年の技術革新や、外部抵抗の低抵抗化により、±1mVまで精度は上がっています。
なお、過充電検出や、放電過電流検出、以外にも、過放電検出や、充電過電流検出など、保護ICにとっては、重要な機能があります。下記リンクでわかりやすく説明していますので、そちらをご覧ください。
0V電池充電禁止のおさらい
他にも、短絡検出や、0V電池充電禁止電圧などの精度にも言及されています。
前回のコラムでも語りましたが、0V近辺まで放電された電池を充電すると、内部短絡が発生して、最悪の場合、電池が異常発熱を起こして、事故になりかねません。そこで、0V充電禁止機能を持った製品が出てきました。
その機能としては、過放電検出電圧を下回った電池が、更に所定の電圧まで下がった場合は、充電できないようになっています。この設定電圧もできるだけ低い電圧の方がユーザーとしては嬉しいですし、一方で安全を確保するためには、やはりこの項目の精度が必要になってきました。
こちらも技術革新が進み、最近では、±0.05Vの高精度のもの製品が誕生しています。
詳細は下記R5445Zのリンクを参照ください。
R5445Z:1セル リチウムイオン電池用 温度保護機能付き 保護IC の詳細はこちら
日清紡マイクロデバイスのリチウムイオン電池保護ICのラインナップはこちら
パッケージも随分小さくなりました!
また、性能というわけではありませんが、パッケージも進化してきました。
リチウムイオン電池も時の流れに乗って、技術革新が進み、小型化され、それに伴って、保護ICにも、小型化、薄型化が要求されるようになりました。そうするといくら回路を小さくしても、外側のパッケージ自体の大きさも小さく、薄くする必要があり、技術革新が進みました。
開発当初のパッケージ(5.2mm×6.2mm)から考えると、現在の保護ICのパッケージで1番小さいWLCSPでは、厚さは約1/4、面積では、一辺が1mm前後なので、なんと1/32以下になっています。
サイズ比
以上で、保護ICコラム第2回の紹介をおわります。
興味のある方はぜひぜひ、下記の本コラムをご覧になってください。
第2回 リチウムイオン電池保護ICの歴史(後編)
~ 初期の性能・パッケージから、最新の性能・パッケージまで ~
なお、第3回は、保護ICが使われるリチウムイオン電池のアプリケーションについての変遷を語る予定にしております。こちらもご期待ください。
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