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欧州FAEが感じた半導体マーケティングの変遷~ソーシャルメディアとオンライン販売の発展~

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前回のコラムで、2001年に品川にあったリコー電子デバイス時代の事務所を訪ねるために初めて日本に出張した経験を紹介しましたが、今回はそれについて冒頭で少し触れようと思います。前述したように、それは新しい世界へのエキサイティングな冒険でした。

 

注:本コラムは、欧州在住のFAE(Field Application Engineer)が、当社の英語版公式ブログ向けに書いたコラムを日本向けに訳したものです。

hans3日清紡マイクロデバイス公式ブログ(英語版)

 

東京出張

上司(日本人)と私は品川駅の隣にある品川プリンスホテルに泊まりました。ホテルはまるで小さな村と同じくらい大きく、いくつかのタワー、レストラン、ショップやエンターテイメント施設がありました。
ホテルがある品川駅からは、東京のどこにでも行けるので、とても便利な場所でした。ただし、ラッシュの時間帯は非常に混雑し、多くの鉄道ホームや鉄道会社、さまざまな種類の運行形態があるため、迷ったり混乱したりしやすいので注意が必要です。

2週間のうち、最初の 1 週間は、上司と一緒に行動して、複雑な電車や地下鉄のシステムの理解や、駅で切符を買うため、さまざまな券売機の使い方に慣れました。ただ、残りの 1 週間は、私は一人でオフィスに行かなければいけませんでしたが、案の定、間違った電車に乗ってしまいました。

一人で電車に乗ったあと、その電車が前の週に上司と乗ったときに比べてそれほど混んでいないことに気づきました。というのも、羽田空港行きの特急で、主要駅にしか止まらなかったのです。 私が降りなければならない青物横丁駅を電車が通過したとき、私は唖然としてしまいました。特急電車なので次の停車駅まではしばらく時間がかかりました。降りたあと、最初は逆方向の電車に乗ろうと思ったのですが、これも間違えてしまいました。

一人で電車に乗る場合、どの電車に乗ってどの駅を通過するかチェックリストを作ったり、ガイドブックを購入したり、しっかり準備をしなければならないなあ・・と不安になっていました。
そして、少し遅れてようやくオフィスに到着しましたが、遅れた理由を同僚に話すと、笑われてしまいました。

 

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図1:東京地下鉄マップ

秋葉原電気街

週末に自由時間があったので、特に熱心な電子機器愛好家やマニアが集まる有名な秋葉原電気街を見てみたいと思っていました。 というわけで、真新しい鉄道ガイドブックを入手して”旅行”の準備をしました。旅行中のすべての駅とその数を確認することで、問題なく行動できたので、結局のところ、東京での一人旅が可能となりました。

もちろん私の母国(オランダ)にはたくさんの電気店がありますが、それらはすべて街中に点在しています。 秋葉原は一種の村、”秋葉原村”といっても良い街で、工具、機器、部品を探すのに最も便利で、一日中過ごすことができます。 そこで見つかるものは驚くべきもので、それはほとんど無限にあり、すべてを見るには一日だと時間が短すぎるように思えます。

あなたが秋葉原に来たら、狭い路地を散策しながら、あなたの国では決して見ることのできない小さな店や巨大なヨドバシカメラのビルを眺めてください。 特に小さなお店のいくつかは世界中からの観光客の間で有名で、最近ではソーシャルメディアやYouTubeでも見つけることができます。

 

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図2:秋葉原”電気街”

 

ソーシャルメディアの発展

さて、2001 年はまだマーケティングの初期段階で、ソーシャル メディアを利用したチャネルや YouTube は存在していませんでした。 私たちのマーケティングは主に紙の業界誌での広告で構成されており、当時は欧州オフィスが外部代理店を利用してそのようなコンテンツを作成していました。
技術にあまり詳しくない代理店メンバーに技術的な製品を説明して、その説明でメンバーが理解してくれることを願う、複雑で長いワークフローでしたので、毎回出来あがってきた初稿を見る時は、いつもドキドキしていました。

現在、私たちは製品やサービスを宣伝するためにさまざまなツールを活用しています。 FacebookX(旧Twitter)LinkedInYouTube もそうですが、特に動画を作成するためのスキルの学習と適切なツールの使用に投資する必要がありました。 動画を作成するプロセスは複雑な作業であり、さらに複雑なソフトウェア ツールを使用する必要があります。

以前は、数日間の教育コースを受講するか、分厚いマニュアルを読む必要がありましたが、今は、新しいスキルを習得するのも簡単になりました。 YouTube を使用するために、同じメディアでは、YouTube の使い方や動画の作成方法に関する動画も多数提供されています。

こうして、努力の結果最初の動画はできあがりましたが、まるでPowerPointで作成した動画のようなものになっており、これでは一歩前進とは言えませんでした。というのも、ナレーションやアニメーション、字幕、音楽、エフェクトなどを加えて、より魅力的な、あるいはエンターテインメント性の高いものにしなければならなかったからです。

でも、今では、設計エンジニアへの関心だけでなく、社員の教育のため、製品のデモをしたり、興味のある具体的な機能を説明することができるようになりました。 動画は、エンジニアが非常にリラックスした方法で製品について詳しく学ぶのに役立つ非常に優れた方法の一つであり、必要に応じて何度でも視聴したり、他の同僚と共有したりすることもできます。 私たちはさまざまな目的で動画を作成して使用することの未知なる可能性のすべてをまだ発見していないかもしれませんが、YouTube のコンテンツは時間の経過とともに改善されています。

 

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図3:日清紡マイクロデバイスYouTubeチャンネル

 

オンライン流通チャネルの開発

私が入社してから、商品の売り方は大きく変わりました。 2001 年には、当社の製品を地元の代理店を通じてのみ販売するのが一般的でした。 当社では引き続きこの選択肢をお客様にご提供しており、新日本無線とリコー電子デバイスの統合によりさらに多くの現地販売チャネルが得られました。

現地の代理店が現地の言語を話し、顧客に個別の連絡とサポートを提供してくれるため、顧客にとって多くの利点があり、今でも人気のある販売方法です。 彼らは市場をよく知っているため、潜在的な新規顧客を見つけて連絡を取るサービスも提供します。 しかし、徐々に、いわゆるオンライン商社のニーズも出てきました。

新型コロナウイルス感染症のパンデミックもこの選択肢をさらに活気づけたと私は確信しています。 この販売形態には、現地での販売に比べて確かにさらなる利点があります。 商品はウェブ上のお店に掲載されており、24時間注文可能で、少量から購入できるものもあります。 出荷は通常、在庫がある場合には 1 日以内に行われますが、最も重要なのは、オンライン 商社がワンストップ ショップを提供していることです。つまり、部品表に記載されているすべての部品を一度に注文できるということです。
このようにして、設計者や購買担当者は、あらゆる種類のサプライヤーや従来の注文方法に対処する必要がなく、貴重な時間と労力を節約できます。 これらのオンライン商社は、技術セミナー、チュートリアル、回路基板設計ツール、製品プロモーション、さらには広告など、多くの追加サービスも提供しています。

※ワンストップショップ:ある分野において、関連するあらゆる商品を取り揃える販売形態。

 

日清紡マイクロデバイスは、これらの市場リーダーであるMouserDigiKeyRS Components、EBV (Avnet)、Chip One Stop 社などと積極的にオンラインビジネスを行っています。 私は以前、このようなオンライン商社の倉庫を訪れたことがありますが、部品がどのように正確に選択され、出荷されるのかを見て、本当に驚きました。
ぜひ、当社のウェブサイトで現地およびオンライン商社のリストをご覧になってください。

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図4: 日清紡マイクロデバイス 製品購入ページ

 

次回は、私の経験と現在のマーケティング手法についてお話したいと思います。

 

※過去の記事はこちら:
  第1回:  欧州FAEが感じたヨーロッパの半導体ビジネス~オフィス立ち上げと新しい挑戦~

 

半導体産業の水平分業化 ~製品別、国別の水平分業の実態(前編)~
日清紡マイクロデバイスのポスターセッション ~”こすれ合い” が新しいアイデアを創る~

About Author

ハンス・アダムス
ハンス・アダムス

幼い頃からすでに電子機器に興味があり、古いラジオやテープレコーダー、テレビで遊んでいた。学校では電子工学と航空電子工学を学び、さらに実践的な学びに磨きをかけるため、セキュリティシステム業界でキャリアをスタート。その後20年間、このビジネスでさまざまなポジションを経験し、最終的にはフィールドアプリケーションエンジニアとして、全国各地のお客様を訪問し、メンテナンス、技術的な問題解決などを行った。2001年3月、アプリケーションエンジニアとしてRicoh Europe (Netherlands) B.V.に入社し、現在は日清紡マイクロデバイスのヨーロッパ向けマーケティングコミュニケーションのマネージャーをしながら、日本のデジタルマーケティングチームのサポートをしている。現在、妻と息子と一緒にアムステルダム近郊に住んでおり、いつも家や庭で何かと忙しくしているが、友人とも楽しんでいる。

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