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米国駐在員が感じた日本とアメリカの違い(Part1)

アメリカ駐在員が感じた日本と米国の違い_top_img

こんにちは。そして初めまして。
2017年から北アメリカ(以降アメリカ、あるいは米国と記載)へ赴任、現在、日清紡マイクロデバイス(旧リコー電子デバイス)株式会社の現地FAE(Field Application Engineer)として、米国のお客様をサポートさせていただいております鹿嶋と申します。

今回、恐れ多くも会社の公式ブログに私の文章を掲載いただくことになりました。
お仕事中の休憩時間、はたまた食事中の”ハシヤスメブログ”として連載スタートさせますので、少々お付き合いいただけますと幸いです。

★★★

教えて海外駐在員!シリーズ

米国駐在員が感じた日本とアメリカの違い (Part1)

 

さてさて、改めまして少し自己紹介とアメリカでの生活に関して記載したいと思います。
私は現在、カリフォルニア州のサンノゼ、いわゆるシリコンバレーと呼ばれる場所におります。
言葉の響きだけを聞くと、Techカンパニーに囲まれた先進的な街を想像されるかもしれませんが、私の住んでいる街は程よく田舎で、田舎出身の私にとってはなかなか暮らしやすく感じています。
また日本人の駐在員、現地在住の方も多く、日系スーパーや小児科などもあります。
気候もサンノゼエリアは日本の夏のような湿度はなく、カラッとした気候で寝苦しい夜も非常に少ないです。また、冬場の雨季を除くとほぼ雨が降ることはありません。また、車社会であることからアメリカで傘をさしたことは一度もありません。総じて、サンノゼは全米の中でも日本人が生活しやすいエリアだと思います。

そんな私もアメリカ駐在生活が約3年半過ぎました。

 

空の写真2サンノゼの青空

 

“日本とアメリカの違いは何か?”と聞かれると・・・多様な人種、言語、食事、物価、etc...いろいろありますが、今回取り上げたいのは”気候”の違いに関してです。
日本は春があり、梅雨そして夏を迎え、紅葉の秋、そして寒い冬と四季がはっきりしている国として知られているかと思います。一方、アメリカは国土も広く、州によってまったく気候は異なりますが、日本よりも厳しい夏、冬があること、アメリカ生活を通して知りました。
今回第1回目のブログでは、入社時に感じたIC仕様に対する私の疑問に対し、アメリカ生活を通して実感した答えにまつわるお話をさせていただきたいと思います。

 

素朴な疑問、ICの動作温度範囲って?

まず、入社時に感じたIC仕様に対する疑問に関してお話します。
このブログを見られている方はご存知かと思いますが、ICの動作範囲温度は-40℃~85℃(民生品)、-40℃~125℃(車載品)というのが業界では一般的です。
まず高温側に対してですが、いくら高効率な当社のDCDCコンバータ、低ドロップアウト電圧で動作可能なLDOとは言え、大電流を供給しようとすると温度が上昇してしまうことは想像できました。
しかしながら一方で、”-40℃”という低温側に関しては、

 「ん???冷凍庫の中でももう少し暖かいんじゃない?」

のような疑問を持っていました。
そして、”動作温度範囲を-20℃とかに狭めてもっとスペック良くしちゃえば良いじゃん!”などのように思っておりました。
(入社当時の無知な私の疑問ということでご了承ください・・・)

 

まさに『極寒』の冬を経験!

ところがドッコイ(最近の若者は使わない言葉・・・)!アメリカの冬はメチャメチャ寒いのです!
冬場のミネソタ州、ミシガン州、イリノイ州、ウィスコンシン州などを訪れて実感しましたが、-20℃ともなると口を開けると寒くて口の中が痛くなります。息を吸い込むにも冷気が入ってくるので呼吸も一苦労です。同僚のアメリカ人が5℃であろうが、0℃であろうが、-20℃だろうが『Cold is cold.』と言っていましたが、”その通り”と思う反面、Coldのレベルは少し違うと思う・・・と思った次第です。
まさに、今まで体感したことのない寒さでした。

冬の写真2ミシガン出張中ホテルにて

そのとき、ふと思いました。

「ここアメリカで、-20℃なんかで動作温度範囲外になるようなICなんて使えねぇ。。。」

また、ミネソタ州ミネアポリスを訪れた際、Sales Representativeの方(製品のプロモーションに協力いただいている協力会社の方)と話をしたところ、-20℃の温度表示を見て、

『今年はまだマシな方だ、去年はず~っと-40℃ぐらいだった』

と言われていました。

 

us_diary1_1b

そうです!雪国を過ごした経験のない私にとって、-40℃の世界は、空想上の、観測されることのないただの数字上の温度だと思っていましたが、目の前に-40℃の冬を生き抜いた人間が立っていました。
(注釈:その方は雪男ではありません。-40℃の間、外で生活されていたわけでもありません)
私自身、まだ-40℃の世界は経験したことありませんが、

”-40℃でも動作するIC、ありがとう!そして、入社時の浅はかな疑問、さようなら~!”

と、雪男のように叫びたくなりました。(画像は本人でなくイメージです)

 

 

 

ちなみに、私が住んでいるサンノゼと、冬場は極寒のミネソタ州、ミシガン州、イリノイ州、ウィスコンシン州の位置関係はこちら

アメリカ地図位置関係

 

-40℃の壁を超え、-50℃へ対応した電源IC!

『時を戻そう!』(ペコパ風)。。。
ICの動作温度範囲として、”-40℃~というのが一般的”とお伝えしましたが、-40℃はやはり必要ということを実感した話でした。そして実は-40℃で十分なのか?-50℃ぐらいあった方が良いんじゃないの・・・という新たな懸念が生まれてしまいました。。。もし同様の疑問を持たれた方がいらっしゃいましたら、ご安心ください。

弊社は-50℃まで動作温度範囲を拡張した製品をラインナップしております。
主に産業機器向けアプリケーションのニーズにお応えするため、弊社は-50℃の動作温度に対応したLDO、VDのラインナップを持っております。
なお、-50℃対応のICはIndustrial Gradeの製品として、極寒の野外で使われるPAフィールド機器や、プラント用センサー、測定器などのアプリケーションへご採用いただける品質となっております。

 

-50℃対応の産業用途向けICの主なラインナップ(リンクをクリックするとDatasheetが開きます)

 

 

 

かくして、新しく生まれかけた私の懸念も、お客様のニーズをとらえた製品ラインナップにより解消されましたところで、お後よろしく、今回はここまでとさせていただきます。
次回以降の【教えて海外駐在員シリーズ!】米国版を、首を長くしてお待ちいただければ幸いです。

 

 

サンプルをこっそり手に入れたいんです。
半導体の微細化と半導体ビジネス その2

About Author

鹿嶋 祐樹
鹿嶋 祐樹

2007年 (株)リコー入社。DCDCコンバータ、リニアレギュレータ、ヴォルテージディテクターなどの設計、開発を担当する中、“海外ビジネスに携わりたい”、”海外駐在したい”という想いから営業部へ異動。念願かなって2017年10月より、家族とともに米国赴任し、現在、日清紡マイクロデバイス(旧リコー電子デバイス)の北米担当FAEとしてお客様のサポート奮闘中。また、週末は、サンノゼの日本人コミュニティのみんなとサッカーをするなど、2026年開催の北中米ワールドカップを楽しみに待ちながら、公私ともに充実な日々を過ごしている

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